本日ご協力いただいたみなさま。

メスにしがみついているのが普通色のオス、尾扇までは白化していない白化途上のオス、尾扇まで白化したほぼ全身が白化したオス、オスとの比較のためのメス、不可抗力で掬った通りすがりのミジンコたちです。
実は(白化途上個体の標本として)ものすごいイケメンがいたんですが、一時間出待ちしても掬える場所に浮上してくれなかったので断念して、程々のを召喚しました。

通常色のオスが白化する過程をお見せできればと思い、チャレンジしました。オスの白化が遺伝的なものではなく、後天的な外部環境の影響なのではないかと私が考える根拠のようなものを感じ取っていただければ幸いです。


白化していないおなじみの普通色のオスは、この通りいわゆる透明な筋肉にハの字で並ぶ色素胞という構成です。


そして大きいエビなら我々がおいしくいただく腹部の、頭胸甲に近い筋繊維から徐々に白化していくようで、尾扇に近い部分が完全に白化する前に尾扇に白が広がるようです。同時に頭胸甲内部の筋繊維も白化していくようです。


そして腹肢と尾扇が白くなり、

触覚付近も白くなり、

胸脚も白くなる、という流れです。

順序立った標本画像が撮れず恐縮ですが、腹→頭→腹の足→尾→顔周り→胸の足の順で白化していくような印象です。
殻の部分は透き通ったまま、見事に筋肉のあるところだけが白くなっていってますので、オスのタンパク質に現れる現象なんですかね。例えばネクタリン寄生虫はエビの内臓に寄生すると聞きました。今のところネクタリン寄生虫を持ったエビはうちにはいないようですが。
・宿主を性転換させる寄生バクテリア( http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/2220/ )
・寄生虫に「ゾンビ化」された生き物たちの、閲覧注意なフォトギャラリー( https://wired.jp/2016/01/08/zombi-creatures/ )
というお話もあるようですから、この白化したオスが繁殖可能なのかもいずれ確認した方がいいのかもしれません。

トロ舟をひっかき回したくはなかったので、肝心の腹部が白化途上の個体を掬えなかった点は後日機会があればまた穴埋めしたいと思います。

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その後天然ミナミたちは、一年前からここで暮らしてますが?みたいな顔をしてふわふわツマツマしています。
ただしその驚きのコケ取り能力だけは、彼らの名誉のためにお示ししておきます。

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2018/05/18
白濁個体について、真面目に考え込んでしまったことを追記としてまとめます。
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私はミナミヌマエビが白濁した理由を知りたいと思っています。理由がわからないまでも、どうすれば白濁個体を維持できるのかを知りたいと思っています。それを確かめるために、うちに白濁環境がある限りはあれこれ試してみるつもりです。

色の付いたエビについて。ビー、シャドー、ピント、ターコイズ、クラウド、いずれもはっきりとした色合いのエビたちですが、レッドチェリーなどを含めた「色」を売りにしたエビたちは、外骨格から色素胞辺りの、体表面の細胞の色素によって体色が形成されているように見受けられます。恐らく生身を捌けば半透明の筋繊維でしょう。(寿司や刺身になったエビを連想してください。)
うちの白濁個体の場合は色素胞の奥の筋繊維が白化しているので、生身を捌くと中まで白濁しています。色の表現の成り立ちが根本的に違うのです。

その原因が遺伝的な要素なら、私が白ミナミを知る以前から存在しているものですから、もっと早くに目利きの方にブリードされてレッドチェリーシュリンプ並みに数多く流通していると思うのです。知人に白いエビがいることを教えた時に一番に言われたのが「レアってことは殖やして売ったら儲かるじゃないですか!」でした。世の中そんなものです。しかし現実には、冬季の間少量の天然採取個体が流通する程度。いつ固定出来るとも知れない改良種の作出のためにかける手間に比べたら、趣味の屋外飼育でほとんど放置でも勝手に増える白濁個体なのに、誰も殖やして流通させていない。つまり現時点では誰も安定的に殖やせていないということになります。それが私が遺伝的要素による白化と思えない理由の一つです。

もしこの白濁が後天的なバクテリアや寄生虫の影響であった場合、その影響がどこまで及ぶのか調べなければなりません。単にヌマエビまでなのか甲殻類までなのか昆虫にも及ぶのか、はたまた脊椎動物にまで及ぶのか。単にオスの筋繊維の白化までなのか寿命や生殖にも影響があるのか。
『白いミナミを普通のミナミと一緒に飼い始めたら、今まで累代飼育していた普通のミナミの稚エビが育たなくなった』なんてことが起こらないとは言い切れません。何故白濁するのか、原因が分からないからです。
天然由来の変異とはいえ、種の通常の生命活動とは異なる影響を与える可能性があるならば、白濁個体の安易な拡散はすなわちバイオハザードのトリガーです。むしろ在来種とは異なるものが野生化しまくっている丈夫なミナミヌマエビですから、安全とは言えません。
確かに始まりは「友人に白濁個体を分けてあげるなら、長く飼える方がいいよね」みたいな軽い気持ちでした。もし譲渡先で他の生体に悪影響が出たら、などとは考えていませんでした。しかし白濁個体がよくわからないもののままならば、私はよくわからないまま他人へ譲渡することはありません。

白濁個体を見ているのは楽しいです。かわいいな綺麗だなと思います。この気持ちを共有できるように、白濁個体についての検証を地道にやっていこうと思います。

クソ真面目で面倒臭い堅物だと思いますか? ええ、大真面目です。そして孤独です。生物学や農学や、なにか関連する情報やアイディアをお持ちの方、そして私の方向性の間違いや矛盾点などお気づきの方のご意見、常時大募集です。私の代わりにいろいろ調べて公開して、白濁個体安全宣言出してくださる方も大歓迎です。どうぞよろしくお願いいたします。

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